大正15(1926)年 6月30日 小島政二郎宛書簡
冠省御手紙ありがたう。僕目下胃のみならず大腸加太児を起し居り、お医者に相談した所、痔の手術をするにはもつと営養がよくならねは駄目のよし。する時には岩佐病院へ御紹介を願ふべし。兎に角唯今はひよろひよろしてゐます。実は君の手紙を見てあの長さに感謝すると同時にあの長さをものともしない君の魄力に敬服してしまつた。何しろ僕は七月になると云ふのに足袋をはき足のうらへカラシを貼り、脚湯まで使つてゐるのだから。もうこれでおしまひ。どうか奥さんによろしく。美籠ちゃんの顔も見ざること久し。大きくなつたらうなあ。