笠置から塔の峰をめぐつて吉野をこえたなり高野に上つた 高野の御寺の精進料理はうまい
笹の雪よりうまさうだ もう五六年たつたら君と一緒にこゝへ来てこの料理が食へるだらう
高野から金剛山へ上る。山は険しくないが途中で暮れてゆく山々の景色をながめたのは何となくうれしかつた
金剛山の宿へつくといきなり犬が二匹凄じい勢で吠えながら向つて来たのには驚いた
なめさんも僕も足が動かなくなつた いゝあんばいに案内者が棒で追つてくれたので一息つく
飛行器の工事は進んだらう
平塚兄によろしく 左様なら
依田君からもよろしくと云ふ事だ
※なめさん=依田誠
年表によると、
「この頃、担任広瀬雄、級友依田誠とともに関西旅行に出かけ、高野山などを訪れる」
とあります。年次推定、前年の可能性もとのこと。
※手紙の中の案内者が担任の広瀬雄なのか別の人物なのかわかりませんでした。
※依田誠の顔写真がみつかりませんでした。
旅の格好、荷物はどうしたものかと思ったのですが、荷物を持って登山もないだろうということで、というかどういう鞄を描いていいかわからず省略。
脚絆に草履がそれっぽいようなので採用しました。7月なので半袖に。
当時の旅の服装や旅行鞄に詳しい人がいましたら教えてくださると助かります。