菊池寛と蕎麦屋
上京当時、そば屋へ行くと、もりかけ三銭と書いてあった。それが、もり三銭かけ三銭と云う意味だとは分からなかった。私はもりかけと云うものがあるものだと思った。私は可なり長い間「もりかけを下さい」と云って註文していた。こんな場合そば屋では大抵かけをくれたものだ
菊池寛『半自叙伝』
半自叙伝・無名作家の日記 他四篇 (岩波文庫)
posted with amazlet at 15.10.09
上京当時、そば屋へ行くと、もりかけ三銭と書いてあった。それが、もり三銭かけ三銭と云う意味だとは分からなかった。私はもりかけと云うものがあるものだと思った。私は可なり長い間「もりかけを下さい」と云って註文していた。こんな場合そば屋では大抵かけをくれたものだ
菊池寛『半自叙伝』